「じゃあさー」と言いながら、鞄の中をゴソゴソとあさる紬ちゃん。
「はいこれ!」
──そう言って手渡されたのは、可愛らしいリップのようなものだった。
「今日お昼に久遠先輩に会う前にこれ塗って行きなよ! 化粧苦手な春香でもこのくらいなら問題ないと思うよ」
「これ化粧品なの…?」
「うん。て、いってもまー、軽く色がつく程度なんだけど、唇がぷるっぷるになるの! だから絶対にそれつけて行ったら先輩にキスされちゃうね、春香!」
「なななっ! 何言ってるの!?」
「だってありえるから。…って、それなくても久遠先輩はキスしたいって思ってるかもしれないけどね」
「いやっ、あの、紬ちゃん…!」
確かに変わりたいって可愛くなりたいって言ったのはわたしだけど…
「こんなの校則違反にならない…?」



