「ご、ごめん…。」

「すぐには許してあげられない。だから春香ちゃんには近寄らないで」


まるで拒絶反応とも見られるような言葉を残す。


それに先輩が小さく頷くのを確認したら、わたしの手を軽く引っ張って、歩き始める。


少しずつ遠ざかる先輩の元。


曲がり角を曲がるその瞬間、さっきまでいたところに目を向けると、先輩は地面にしゃがみ込んで顔を覆っていた。


離れていて何も聞こえないはずなのに、


泣いている声が聞こえた気がしたのは

気のせいなんかではなかったかもしれない──