「そんな…わたしを疑うなんてひどい…っ」
──そう言って両手で顔を覆う。
「ひどい? …春香ちゃんを脅してたくせによくそんなことが言えるよね。」
「わたし…何も、してない…」
断固“してない”と言い張る。
─それを聞いていた智紘先輩は、ハア…と呆れ気味にため息をつく。
「いい加減、その嘘泣きやめたら? そんなのに俺が騙されるわけないだろ?」
いつも優しかった智紘先輩。
女の子の接し方には慣れていて、泣かすなんてことするような人には見えない人が
ここまで女の子を追い詰めるなんて思ってもいなかった。



