「ち、違っ…。違う…」 そう呟きながら、掴まれている腕をバッと乱暴に振り解くと、力なくわたしの目の前から数歩後退りする。 その顔は青ざめていた。 ─と、彼女さんに視線が釘付けになっている時、いつの間にか窓から出てきていた智紘先輩。 ようやく顔を見ることができたけど、 その横顔はまるで怒っているようだった。 「何が違うっていうの?」 「今のは…、その…っ」 「しかもさぁ、春香ちゃんの前ではかなり強気なんだね? 俺の前とじゃあ全然話し方も態度も違うよね」