大きく腕を振り上げる── ………ああ、ダメだ。 叩かれてしまう…。 咄嗟にギュッと目を閉じる── ─が、なぜかその痛みはやってこなくて、 恐る恐る目を開けると、振り上げられた腕を誰かによって掴まれていた。 「……へぇ、そういうことだったんだ。」 真後ろから聞こえた、男の人の声。 それがすぐに、智紘先輩の声だと気づくと わたしの頬を流れる一筋の涙。 さっきまで怖かったのが、智紘先輩が現れたことによって一気に吹き飛んだ。