「あれ。この前久遠くんが言ってたのってこの子のこと?」
ビクッ──
この前…って、もしかしてわたしのことが鬱陶しいって言ってた時なの、かな…。
……やだ。
そんな話なんて聞きたくない。
「あー、うん」
「へえ、そうなんだあ。実はわたし、友達なんだよ。つい最近なんだけどね? ハンカチを拾ってくれて、そこから仲良くしてるの」
大和先輩の時と同じように、嘘をつく彼女さん。
それはまるで呼吸をするように慣れた様子で嘘をついていく。
わたしに見せたあの怖い顔ではなく、可愛らしい女の子を演じて。
「後輩だから可愛くてついつい何でもしてあげたくなるのよね〜」



