「春香ちゃん? …ミルクティー嫌だった?」

「あっ、いや…、そうじゃなくて…」


言葉を濁すわたしを見てキョトンとする智紘先輩は、“彼女でもない女の子に何かをあげる”という行動を何とも思っていないらしかった。


「…紅茶に変えようか?」

「あっ、いえ。これもらいます…。」


タダでもらうわけにはいかなかったわたしは、お財布からお金を取り出して、無理やり智紘先輩の手に載せた。


「春香ちゃんがお金払ったら、俺があげたことにならないんだけど…」

「ま、まぁ、いいじゃないですか…。」


適当な言葉で誤魔化して、智紘先輩から少し距離を取る。

─と、それを不審に思ったのか


「ねぇ、なんかよそよそしくない?」