わたしみたいな人間が勘違いする方がおこがましいのに……って、わたし“みたい”って思うのは、やめようって決めたのに……。


「ねぇ、春香ちゃんは?」


───先輩の声で、ハッとする。


「え? な、なんですか?」

「春香ちゃんは甘いの好き?」

「好き、ですけど……」


先輩は、「そっかぁ」と言った後、頬についたクリームをペロッと舐める。

その仕草がなんだか色っぽくて思わずドキッとして、顔が熱い……。

早く熱が治まれ! そう思いながら、卵焼きをパクリと食べていると────


「はい。あーん…」


今まで食べていたそのパンを、わたしの目の前に持ってきて食べるように促した。


「…!? む、無理です…っ」

「そう言わずに。甘いの好きなんでしょ?」

「そー、ですけど…」


いくら甘いのが好きだからといって誰かの食べかけ──しかも、それが男の人の食べかけとなると躊躇ってしまうのは当然だ。