お金を入れて一つのボタンを押す。

─と、“ガゴンッ”と音をたてて飲み物が一つ落ちる。それを拾い上げて「はい、これ」と、わたしに差し出した。

それは、ミルクティーだった。


「えっ……あ、お金…っ!」

「そんなのいいよ。俺が春香ちゃんにあげたかっただけだからさ」


ドキっ──


ま、またそんなこと……

思ってもいないくせに──


「何言ってるんですか…!」

「だってほんとのことだもん」

「意味が分かりませんっ…!」

「あれー? 春香ちゃんに伝わるように言ってるつもりなんだけどなぁ」