「あっ、わたしまだ課題残ってるんだった!」


なんて白々しい嘘をへらりと笑いながら言うと、わたしの方を見て、「じゃあまたね!」と手を振って教室へ走って行った。


大和先輩の手前、笑ってはいたけど、目の奥はとてつもなく冷たく感じた──



「騒がしいやつだな。…って、それよりひろに会っていかなくていいの?」

「えっ?」

「最近昼一緒にいないんだろ? あいつ寂しがってるよ」

「そっ、んなわけないじゃないですか!」


──そんなわけない。

智紘先輩が寂しがるはずない。


「きっと、…清々してると思います」