そう思っていたのに──



「──あれ。春香ちゃん?」


彼女さんの向こう側から声をかけてきたのは、大和先輩だった。


「もしかしてひろに用?」

「…あっ、いや…違い、ます…。」


慌てて両手を振って否定する。

─と、わたしの目の前にいた彼女さんに気づいて、「あ。」と声を漏らす大和先輩。


「二人って仲良かったの?」

「そうなの。ハンカチを拾ってくれてから仲良くなったの。ね?」


──そう答えたのは、わたしではなく

彼女さんだった。