──そんな考えことをしながら歩いていると、いつの間にか智紘先輩のいる教室の近くまで来ていることに気づいた。
「…こ、これはまずい。」
智紘先輩に見つかることよりも、彼女さんに見つかる方がよっぽど恐ろしく感じて、
踵を返して、来た道を引き返そうとした──
「……またあなた?」
その声が聞こえてピタリと足が止まる。
それと同時に全身に緊張が走り、身体が強張った。
……ああ、どうしてこんなタイミングで出会ってしまうのだろう。
会いたくない人間ほど会ってしまうこの運命は、何なのだろう。
「どうしてこんな場所にいるの?」



