「久遠先輩本人に聞かないとそれがほんとかどうかも分からないでしょ」
「それはそうかもしれないけど…!」
……あの先輩が怖い。
今度近づいたらただじゃ済まないって言ってたんだもん。
なんかあの人、苦手……。
「と、とにかく今は静かにしておこう?」
「〜〜…でもっ…!」
目の前の離れた場所に、智紘先輩の隣を悠々と歩く女の先輩を指差して何かを言いたげだったけど、「 ……って、ごめん」と呟くと、腕を下げた。
紬ちゃんは普段は優しい子。
それなのに冷静さを失ってここまで感情を露わにしたのは、多分わたしのため。
わたしが智紘先輩を好きだと打ち明けたから。
──わたしの代わりに怒ってくれたんだ。



