「……もしかして春香ちゃん、好きな人いる?」 「えっ?」 ドキっ─── 「なんかそんな感じしたんだけど」 「なっ…何言ってるんですか! そんなわけないじゃない、ですか…っ!」 「いや、でも…」 「ほんとです!」 ──好きな人は智紘先輩です。 その言葉が何度も出かかった。 けど、ゴクリと飲み込んで、何ともなかったかのように振る舞うわたし。 「好きってまだよく分からないので……」 「そうなの?」