「久遠くんはわたしのものよ。あなたみたいな子が久遠くんの隣にいられるわけないじゃない」
……ズキっ
そんなの、分かってる…。
周りに指摘されなくても智紘先輩の隣にいるべき存在じゃないことくらい、自分が一番理解してるつもりだ───
──でも、智紘先輩のことをもの扱いしてるのは納得がいかない…
周りの人と同じように些細なことで傷ついたりする人なのに。
「ちひ、……久遠先輩は、モノなんかじゃありません…っ!」
「1年が口出ししないで!」
─と、バンッと強く肩を押された、その反動で身体がよろけて地面に倒れる。
「…痛っ…。」
手のひらが擦りむけて少しだけ血が滲む。



