「せっかく俺の家に春香ちゃんが来てくれたのに、覚えてないとかすっごいもったいないことしちゃったなぁー」
「ね、熱なら仕方ないですよ」
「うーん。あ、でもね、なんかあの時すっごく幸せな夢見てたんだよなぁ」
「…夢、ですか?」
──あれ。確か、あの時、智紘先輩も“これは夢”って呟いてたような…。
「うん。なんかね、春香ちゃんにキスしてる夢みたんだよねー」
「なっ…!? ちょ…ち、智紘先輩声が大きいです…っ!」
「だってほんとなんだもん」
「そ、それは夢ですってば…!」
……まさか現実だなんて言えるわけない。
「でもなー、やけにリアルだったというか。…なんか感触が──…」
─と、そこで大和先輩が智紘先輩の口を手で覆い、言葉を静止した。
「ふぁにすんふぁよ(なにすんだよ)」
「そんなことこの場で言うべきじゃねぇだろ」
「ふぁって(だって)」



