「ねぇ、紬ちゃん。2年生の久遠智紘先輩って知ってる？」

「知ってるけど──って、春香もしかして知らなかったの！？」

「え。そんなに有名な人？」

「有名人とかじゃないけど、学校では人気者だから知らない人はいないんじゃないかなぁ」


入学してまだ二週間くらいなのに、紬ちゃんそんなこと知ってるんだ。

ていうか、智紘先輩そんな人気者なんだ…。


「春香は会ったことある？」

「う、うん。一応…」

「じゃあ分かると思うけど、あの外見であの性格だからかなーりモテるみたいだよ」

「そーなんだ」


やっぱり。

女の子の接し方が慣れてたもん……。


考え込むわたしを見て、「あー、分かった！」と、わたしの肩を掴む紬ちゃん。


「久遠先輩を好きになったんでしょ？」

「なな、何言ってるの！？ そんなわけないからね！」