──すると、「ん〜…」と言いながら頭をゴロンと動かした智紘先輩。
その直後、ゆっくりと瞼が開いた。
「 !? 」
……お、起きた…っ!!?
ど、…どうしよう…っ!!
「あ、あの…智紘、先輩…。これにはワケが…」
なんとか説明をしようと試みるが、上手く話すことができないのはこの距離のせいで、いつも以上に智紘先輩を近くに感じてしまうから。
ドキドキと緊張がピークに達してどうすればいいのかパニック寸前のわたし。
─それなのに、なぜか先輩は一言も喋らず、未だにぼーっと一点を見つめるばかり。
「あの、…智紘先輩…?」
恐る恐る声をかけてみるが無反応で。
それなのに瞼は開いていて、目が合っているような気さえするのに……。



