「……………意識、してます…。」



聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で、できれば智紘先輩に聞こえてないといいなぁと念を込めながら、ボソッと呟いた。

─が、先輩が一枚も二枚も上手で。


「ちゃんと男として意識してくれてるの?」

「え!? いや、それは……」

「ほーらー。どうなの?」

「だっ…から、…!」


言葉にするのが恥ずかしくてなかなか言えずにいるわたしに、更なる追い討ちをかけるように先輩はしつこく聞いてくる。


「ちゃんと言葉にしてほしいなぁ」



──と、突然、プツンっと切れた糸。

その音のあとにわたしは我を失った。



「…〜…もうっ! さっきからしつこいです! 先輩のことを男として意識してるって言ってるじゃないですか! …それなのに何度も何度も………それに、先輩にこんなことされたら誰だってドキドキするに決まってます!」