最近の智紘先輩は少しおかしい。
と、いうよりも以前よりもスキンシップが増した気がする。
今までは密室だからと気を張っていたのに、日を追うごとに慣れつつあるこの生活で油断してしまっていたのか、わたしは智紘先輩のことを甘く見ていたのかもしれない。
「春香ちゃんがこんな状況に遭うのって、これでもう何度目だろうね?」
そんな言葉を呟きながら、わたしの左側に伸びていた手が器用に動き髪を優しく撫でる。それがくすぐったくてキュッと肩を縮めると、クスッと笑う先輩。
そしてゆっくりとおりてきた手が、髪の毛を掬い、わたしの目の前に浮かび上がる。
その時、バチッと視線が重なってフッと笑った後に、そこにキスを落とした。
その光景に、また胸がドキっと暴れて、顔が熱くなる。



