「いい、ですけど…その前に手を、……」
─────!!
そこまで言って口ごもる。
なぜなら、言いかけた瞬間先輩が手をギュッと握ったから。
繋がれた手の先からじんわりと熱くなり、それが緊張と混ざり合って汗が滲む。
それが恥ずかしくて手を振り解こうとしてみても全く通用しなくて、さらに先輩は力を強めた。
「少しの間だけ静かにしてて」
「で、でも…」
「お願い。」
「む、無理ですっ…!」
なんとかこの手を離してもらおうと必死なわたしは先輩の様子など見向きもしないで、ひたすら繋がれたままの手に集中していた。



