「今日の春香ちゃんの様子変だなぁ」
「え? そ、そうですか…?」
「うん」
ま、まずい…。
智紘先輩怪しんでる。
「き、今日は…特に暑い気がして、おかしくなってるのかもしれません」
「あー、まぁね。まだ春なのに暑いよね」
「そそ、そうなんです」
床に座っている先輩の顔を見るのが怖くて窓の外ばかりを眺めながら話をしていると、心地よい風がふわりと吹き、わたしの髪を攫う。
──すると、いつの間にか立ち上がっていた智紘先輩の姿が目に入り、バチッと視線が重なる。
その瞬間、髪を一掬いして、自分の口元に寄せるとキスを落とした先輩。
「っ─…」
……な、に、これ。
髪にキスを落とされた瞬間、そこから熱が伝わり身体中が熱を帯びて、たちまち鼓動は大きく騒ぎたてる。
まるでドラマのワンシーンにでも出てきそうな、その仕草。



