「──じゃあ仕方ない」


そんな意味深な言葉を残した後すぐに、わたしの身体はグイッと引っ張られて、

そして、何かに受け止められた。



「ちょ、…智紘先輩!?」


またしても先輩に抱きしめられる形になってしまった。


いつの間にか、わたしの背中に回っている先輩の腕に全神経をもっていかれて何も考えることができなくなるわたしをよそに、余裕たっぷりの先輩はクスッと笑った。


「今までに何度か春香ちゃんのこと抱きしめてるけど、全然慣れないね」

「〜〜…っ」

「ははっ。可愛いなあ、もう。」


いつもより破壊力の増した気がするセリフをさらりと言ってのける先輩は、わたしがどれだけドキドキしてるのか気づいていない。

その何気ない言葉のせいで毎回振り回されている気がするはずなのに……

嫌じゃないと思ってしまうのは、なぜ?


「ねぇ、しばらくこのままでいい?」

「なっ……だ、ダメです!」