思い出すだけでカァッと恥ずかしくなり俯くと、まだ掴まれたままのシャツの袖。
そこから、じんわりと熱が伝わってくるようで、胸がギュッとなった。


「っ──」


………なに、これ。

それにわたしどうしちゃったんだろう…。



「春香ちゃん」


先輩が名前を呼ぶ、その声にビクッとして肩を揺らすと、フッと微かに笑われた気がして、さらに恥ずかしくなる。


………ああ。先輩ばかり余裕たっぷりで、ほんとに毎回ずるい…。



「春香ちゃん、こっち向いて」

「今は、無理です…。」


こんな顔見られてしまったら、またからかわれてしまうのがオチだと思うと、どうしても顔を上げることができそうになかった。