いくら返事をしようとしても聞く耳を持たない智紘先輩に痺れを切らしたわたしは、なかばキレ気味になりながら言葉を投げつける。
「もうっ……さっきから何なんですか! うじうじうじうじ。先輩らしくありませんよ!? 俺とうわさになるのが嫌なんだとか俺のこと嫌いなんだとか、どうして勝手に決めつけるんですか?」
塞いでいた蛇口の穴の栓が抜けてしまえば二度と止まることはない水のように、そこから溢れ出た言葉の止めようがなかった。
「わたし、智紘先輩のこと嫌いだなんて一言も言ってません! むしろ好きですよ! 初めて話しかけてくれたのは先輩だけでしたし……」
「あの、春香ちゃん…」
「それなのに先輩ってばひどいです! 勝手に人の気持ちを決めつけて……」
キレ気味になりながら乱暴に言葉をぶつけてもいいことなんて一つもないのに、言葉だって伝わらないはずなのに、どうして素直になることができないんだろう…。



