───て、そうだ…!
「智紘先輩。あの、うわさは何なんですか…っ」
そう。わたしがここに来た本当の目的は、それを聞くためだった。
まだ、この下の中庭にいるであろう女の子たち。
智紘先輩を探して見つけ出して何を聞こうとしているのかは明白だ。
──それなのに先輩は一瞬ポカンとして、「…ああ。」とようやく思い出したのか、ゆっくりと立ち上がりカーテンの隙間から一階を見下ろす。
「ああ、あれ、ね。なんか俺たちのやりとりを見てた子たちみたい。しかもうわさはあの子たちが流したっぽいんだよねー」
「ひ、否定はしたんですか…?」
「うん、もちろんちゃんと違うよって言ったよ。でもなかなか信じてもらえなくてね。…なんせ、あの場面を見てたわけだから」
「そ、それは! 智紘先輩が…あんな事をするからですよ…っ!」
「あんな事って?」



