「春香ちゃん。このくらいでドキドキしてちゃ、この先どうなっちゃうの」
「せ、んぱい、離してください…」
懇願すると、ようやく理解したのか、「これ以上は無理そうだね」そう言って二度頭を撫でると、顎に添えていた手を離した。
その瞬間、わたしは先輩から後ずさって思い切り深呼吸をする。
ドキドキがまだうるさくて、先輩にも聞かれてたかもしれないと思うとまたドキドキが加速する悪循環。
………もう、ほんとずるい……
わたしばかりこんなにドキドキして……
「春香ちゃん」
「す、ストップしてください! これ以上はちょっと…」
わたしの顔を見て言葉の意味が理解できたのか、「ははっ」と笑って、近づいて来ることはなかった。
……ていうか、ここに来てからほとんどドキドキしっぱなしなんだけど…。
何か別のことを聞きに来たような───…



