「ほんとはもっと春香ちゃんをぎゅーって抱きしめたいんだけどなぁ?」
「だ、ダメ、です!」
智紘先輩てば何考えてるんだ…っ
あんな噂が流れているっていうのにいつもと変わらない態度で、からかわれてばかりだし。
もう少し場をわきまえるというか、そういう勘違いされるような行動はしちゃいけないのに。
「と、とにかく離してください!」
「あと少し」
「だ、ダメです!」
何度お願いしてみても離れてくれる様子がなくて困ったわたしは最終手段を取ることを決めた。
「……智紘先輩のこと嫌いになっちゃいますよ」
今の言葉を聞いて、「それはやだ!」とすぐにわたしを解放した。
今までのやりとりは何だったんだ……。



