先輩、これって恋ですか?



わたしはただ、あのうわさの真相を聞くためにここに来たはずなのに…。


「どうしてこんなこと…」

「今のは春香ちゃんが悪いよ」

「そう、じゃなくて! どうして好きでもない人にこんなことするんですか!」


キッ! と睨んでみても全然効果がないようで、いつもと変わらずへらへらとしている先輩。



「……俺にとっては好きな子なんだけど」



ボソッと何か言ったような気がしたけどよく聞こえなくて、「え?」と聞き返すと、ニコッと笑って、「なんでもない」そう言って頬っぺたをつねられた。

……何だったんだろう…。

って、そんなことよりも!


「いい加減離してください…っ!」


これ以上近づかないために先輩の胸板を押して距離をとるけど、背中に腕が回っているせいで逃げることもままならない。