しゃがみこんでそんなことを考えていた瞬間
グイッと腕を掴まれて何が起こったのか分からないまま、バランスを崩したわたしは「きゃっ!」と小さく驚いた。
「大和のこと名前で呼ぶの禁止」
すぐ目の前からそんな声がして見てみると、今まで寝ていたはずの智紘先輩がしっかりと目を開けてわたしの方を見ていた。
「せ、先輩、起きてたんですか……」
「そもそも寝てないからね」
「えっ…」
今のうそ寝だったの?
全然気がつかなかったんだけど……
「そんなことはべつにどうでもいいんだけど。春香ちゃんさー、そろそろあいつのこと大和先輩って呼ぶのやめようよ」
そ、そんなことって。
わたしかなりびっくりしたんだけど……
「……ていうか、なんでそんなに呼び方にこだわるんですか?」



