「春香ちゃん、俺に嘘をつくなんていい度胸してるねー」 「あ、あの…?」 「そんなに口を塞がれたい?」 「!?」 ニヤリと笑う智紘先輩が恐ろしく見えて、一瞬背筋がゾクリとした。 「ほらー、春香ちゃん早く言っちゃいなよ」 「いや、ですから…」 「そうしないとほんとに口塞ぐよ?」 ベンチに座っていた先輩が、また身を乗り出してきて近くなる距離。 片方の手をテーブルの上に置き、もう一つの手のひらが急に伸びてきたかと思ってギュッと目を閉じると─── 「──えっ…」 顎をクイッと掴まれた。