そう言って私が泣くたびにお兄ちゃんは慰め、私の面倒を見てくれた。今思えばお兄ちゃんも寂しかったはずなのに、私のことを第一に考えてくれていた。二人で何年も暮らしていくうちに優しいお兄ちゃんのことが異性として好きになった。
 お兄ちゃんが私の側に居てくれれば、他には何も要らない。二人仲良く暮らしていければそれで良い。私の願いはそれだけ、それだけなのに……。
 気分が落ち込むとお兄ちゃんが嬉しそうに彼女が出来たと報告する姿を思い出す。
 撫でる手を止めて、私はぎゅっと力強く拳を作る。あんな風に笑うお兄ちゃんは初めて見た。あの時のお兄ちゃんはあの人の事しか考えてなくて、私の事なんてちっとも気にしてない。このままだとお兄ちゃんが私の側から離れちゃう。そんなのは嫌だ‼︎
 お兄ちゃんの側にいるのは私だけなのだから。その為なら、私は──。