優しくお兄ちゃんの頭を撫でていると昔とは正反対になっていて少し笑みがこぼれた。
 5歳の時にお父さんが再婚して、新しいお母さんと一つ上のお兄ちゃんと家族になった。両親は仕事人間で残業や出張が多く、家には着替えを取りに来るか私達に生活費を渡しに帰る程度だった。
 中学生になると生活費も通帳に振り込まれるようになり、家には滅多に帰らない。
家族が増えたのに再婚前と同じく置いていかれるのが寂しくて私は何度も泣いた。

「大丈夫だよ、舞。お兄ちゃんがいるからな」