「お兄ちゃん、入るよ?」

 いつもは「ああ」と短く返事をしてくれるけど、今日はしてくれない。やっぱりまだ寝ているんだ。
 私はゆっくりとドアを開けてお兄ちゃんの部屋に入る。床には服や雑誌などが散乱している。また掃除しないと、と考えながらお兄ちゃんが居るベッド横に近寄る。

「お兄ちゃん?」

 私が声を掛けるけど、お兄ちゃんは寝息をたててスヤスヤと眠っている。気持ち良さそうに眠るお兄ちゃんを起こすのは気が引けるから、ベッド横の机にお盆を置いてお兄ちゃんの横に腰掛ける。