コトコトと音を立てる土鍋の火を止めて指で数秒数えた後、私は土鍋の蓋を開ける。
 フワッと白い湯気と共に食欲のそそる香りが鼻腔をくすぐり、そこから美味しそうな卵粥が出来ていた。上手に出来た事に安堵した私は、切り刻んだネギを卵粥の上にのせて料理を完成させる。冷めない為に蓋をしてからお盆に乗せて、食べやすいようにお碗とレンゲのセットも置く。
 準備の整った私はそれらを持って二階にいるお兄ちゃんの部屋へ運んで行く。
 さっき顔を見に行った時は寝ていたけど、起きているかな?私の手料理、作りたてを食べて欲しいんだけど…。
 そう考えながらお兄ちゃんの部屋の前に立つと、いつものようにドアを軽くノックして尋ねる。