『愛してる』

 突然のことで判断が出来なかった私は、一瞬の浮遊感の後受け身も取れず背中から落ちた。痛みで息が出来ない私は空気を求めて口をパクパクと動かす。その原因のお兄ちゃんは私の事は気にも止めずに、必死に鎖を外そうとしている。

「は、早く。くそ、外れろ‼︎」

 お兄ちゃんは悪態を吐きながら震える指で拘束具に手を掛けるけど、あれは素手では外せない。一階の倉庫に眠っている工具を使わないと…。
 私はそんな滑稽なお兄ちゃんを見ながら、ゆっくりと息を整えてベッドの下に隠していた物を掴み取る。