「お前、大丈夫か?」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁっ……!!」
一階の空き教室の隅で酸素不足の私はもう倒れそうになっていた。
「悪かったな。巻き込んで……」
「な……なんかあったの?はぁ……っ、お、追いかけられてたみたいだけど……」
「アイツら、しつこいんだよ。俺が気に入らねぇだけ」
先輩達に文句をつけられているとか、そんな噂はホントだったんだ。
「あ……。ち、血が出てるよ?ここ……」
咄嗟に持っていたハンカチで逢坂くんの口許を抑えた。
「……バカ。汚れるだろ。てか、逃げねぇのかよ?」
本音を言えば怖いのが正直な気持ち。
「確か同じクラスだし……それに……」
逢坂くんは怖いけど、きっと、悪い人じゃない。



