「春川がやめろって言うんなら、やめる……」 俯きがちに言った逢坂くんの声が最後まで聞こえなかった。 「ごめんなさい。ちゃんと聞き取れなかったので、もう一回……」 「なんでもねぇよ。こっち見んな……」 「ご、ご、ごめんなさいっ!!!」 うぅ……。 逢坂くんを怒らせてしまったかもしれない。 手の甲で口許を隠すと、ぷいっとそっぽを向いてしまう逢坂くんに私は震えながら謝罪した。 逢坂くんとは中一からずっと同じクラスだった。 入学してすぐの頃に逢坂くんは私の前に降ってきたんだ。