【完】今日もキミにドキドキが止まらない




「気が向いただけだ」


ボソッ、と答えると逢坂くんはこちらへと向かってくる。


ドキリッ。


「……ヒッ。日菜ちゃんっ、ま、また休み時間に話そうね!」


まるで永遠の別れかのように手を振った詩織ちゃんは、猛ダッシュで自分の席へと逃げていった。



「……春川。久しぶり」


彼、逢坂 瞬(あいさか しゅん)は、私の隣の席。



「久しぶり、だね……」


いたって普通に言ったつもりだったけど、思わずうわずった声が出てしまう。



「……あれ?逢坂くん怪我してる?頬っぺのところに傷が」


「こんなの別にたいしたことない。ふっかけられただけだ」


ふっかけられたって。

きっと、いや、絶対喧嘩だ……。

噂じゃ逢坂くんはよく喧嘩しているところを目撃されている。