思いもよらない台詞に私の頬は瞬く間に熱を帯びていく。
クラスの工藤くん推しの女子は今にも倒れそうなくらいだ。
「なにこれ。こんなのする必要ないだろ」
何も言えずにいると、工藤くんは机の上に散らばったメイク道具をジッと見て言い放った。
「こ、これは……っ、その、もうやめたの」
「ふーん」
まるで興味がないとばかりにそれだけ言い残すと、工藤くんは教室の出口へと向かった。
ふーん、って……。
私が勝手に工藤くんをドキドキさせたかったからだけど、そんな呆れた言い方しなくても……。
唇を尖らせていると、工藤くんがくるりとこちらへ振り返った。
「それ以上可愛くなってどうするつもり?」
私に向かって無愛想に言うと、ぷいっと普通科を出ていった。



