「あれ?日菜、メイクすんのー?」


「そう!上手くできるかわからないけど……工藤くんが気づいてくれるかもしれないから……」


「あ、そっか。朝言ってたよね。ドキドキさせる宣言したって」



いっちゃんには朝一番に昨日のことを報告済みだ。


それも作戦なわけかぁ、といっちゃんがニヤリと笑う。



「ん~~、難しい……」



お姉ちゃんのメイク道具を拝借してきたけど、マスカラだとかビューラーだとか、ほぼメイク初心者である私はなかなか上手く扱えない。



「てか、一つ忠告だけど。グロスの塗りすぎは注意だから。例の“天ぷら食べた?”ってやつにならないようにね」



グロスは控えめに……っと。

私の前に座るいっちゃんにこくこくと頷いた。