「その代わり---」 と言いかけて、工藤くんが私の髪に指を通す。 ひ、ひゃあ……!! 「俺も手加減しないよ?」 「手加減……?」 「そう」 だんだんと近づいてくる工藤くんの唇。 「手加減って、よくわからないけど工藤くんは今のままでいい……だって私は、もうこれでもかってくらいドキドキしてるわけで……」 「そんなの全然足んない」 「……っ、」 私の主張なんて聞き入れてはくれない工藤くん。 そうしている間にも、唇がもう触れてしまいそうだ。 私の思考は停止寸前。 思わずギュッと目を閉じる。