真っ直ぐに、工藤くんの綺麗な瞳を見つめる。 「なに言ってんの?」 「あ……あの、覚えてないのは、それは仕方な……」 「俺がなんにも知らないって、もしかして本気で思ってる?ここに来たのに?」 工藤くんから来てくれた。 このツリーのある場所に……。 微動だに出来ずにいる私の手をそっと握る。 「……手、冷た。あん時と同じ」 「……っ」 その一言で、押し留めていた涙が溢れ出した。 だって、もうそれだけで、工藤くんが覚えていてくれたことがわかってしまったから。