「あっ、ケーキだ……!」
「……そ。俺んち親が仕事で忙しくて。弟がいんだけど、ケーキくらい買ってやりてぇなって思って」
ポリポリと頭をかいてそっぽを向いた逢坂くんがちょっぴり照れくさそうに言った。
「えっ、弟がいたんだね!知らなかったよ。逢坂くんは、優しいお兄ちゃんだ」
私のお姉ちゃんと大違いだよ!と愚痴を漏らすと、逢坂くんがクスクス笑った。
「で。春川は秀才と待ち合わせか?」
「……」
「……春川?」
思わず視線を地面へとスライドさせる。
同時にポッケの中のスマホが震えて、きっとお母さんだと思った。
「ごめんね。私、そろそろ行くね……」



