そうだったとしても。 私が知らないところで工藤くんがひとり悲しんでいたり、傷ついていることがあるのなら、それを見落としたりしたくないんだ。 ---“俺は見落としたりしない” 私だって見落としたりしないよ工藤くん!! 昼休みの騒がしい廊下を駆け抜けて階段を一気に登っていく。 「なにしに来たの?」 普通科とは違う落ち着いた空気が漂う特進科の廊下に、冷ややかな声が落ちてきた。 「日野原さん……」 あれ以来、顔を合わせることはなかった。 久しぶりに見た日野原さんは相変わらず可憐で。