「例えば?」 「え……?」 例えばって……。 まるで偉業を果たしたかのような私の達成感はすぐに打ち消され、質問を質問で返される始末。 「例えば……って、一緒に帰る……とか?」 「今帰ってるじゃん」 ごもっとも。 「ち、ちが……っ、もっと!もっと帰れたらなぁ……って。あと、お昼ご飯とかも一緒に食べたい……です……」 「いいよ?」 「えぇ……っ!!いいの?」 すんなり答えてくれたことに驚いた。 弾かれたように見上げれば、腕を組んだ工藤くんの口許が意地悪そうに笑っていた。