「だから俺は、春川のことが好きだった……」


胸が切ない音をたてる。

けど、すぐに逢坂くんが力を抜いたようにふわりと笑みを浮かべた。



「はっ。なんだよ。春川とまた会えて、俺のこと好きになんねぇかなって思ってたのに。俺の入る隙ねぇじゃん」



ふはっと軽く吹き出す逢坂くんに私もつられて笑ってしまった。


その時、教室に誰かが近づく気配がした。



「ドキドキさせるって、そういうやり方に変更したの?」


え……?


私も逢坂くんも、同時に教室の扉へ振り返る。



「話しがあったから来たんだけど、邪魔した?」




ドアに身体を預けてこちらに視線を投げる工藤くんの姿があった。