「ふーん。深呼吸…ね?」


「う、うん……っ!」



私とは裏腹に工藤くんは余裕をたっぷり含んだ顔をしてみせる。


きっと私の心の内なんてお見通ししてるって顔だ。


そんな私はやっぱりドキドキしっぱなし。


隣を歩く工藤くんが私に合わせて速度を落としてくれるところにも。

目が合うと「なに?」なんて言いながら、少し屈んで目線を合わせてくれる優しさにも。


うん、好き……じゃなくて……。



「……あの、く、工藤くん!」



私はその場でピタリと足を止めた。
だってこのままじゃミッション実行どころではない。


今日こそは、工藤くんともっと近づきたい……!


聞きたいことだってある。
出来ればデートやお弁当なんかもお誘いさせて頂きたい……。