「誰?」
工藤くんは逢坂くんに目をスライドさせる。
「今日、転校してきたの。逢坂くんっていって、中学が同じで……」
しどろもどろになりながら説明したけれど、ふーんっと興味がなさそうな返事が聞こえた。
「待っててくれたの?」
言いながら工藤くんの瞳はすぐに私へと返ってきた。
今度は胸が高鳴りだすから私の心臓は忙しい。
「いやあの……っ、特進科は授業あるし……まさか一緒に帰れるとは思ってなかったし……」
「そこは否定すんなよ」
「ん……っ!」
コツンと軽くおでこを弾かれた。
「そうだって言ったらドキドキしたかもよ?」
イタズラっぽく笑った工藤くんに鼓動が加速していく。