「え…っ? く、工藤くん?」


ゆっくり目を開いて顔を上げる。



「バカ。教室で待ってろって言ったのに」


目の前には、走ってきたのか肩で息をする工藤くんの姿がある。

ツンとした唇に不機嫌そうな顔をした工藤くんを見たら、安心して途端に涙がこみ上げてきた。



「ごっ、ごめんね……私、教室にいるべきだったのに」


謝りながら急いで立ち上がる。



「もういいよ」


はぁ、と。
工藤くんは息を吐き出して、肩の力を抜いた。



「よかった。無事で」



そう言って瞳を緩ませて微笑んでくれた。